東京メトロ夜間作業の様子を報道陣に公開
東京メトロでは2021年春のダイヤ改正より全線で終電の時刻を概ね10分程度繰り上げます。この背景には、列車の安全・安定運行に係る既存設備や建築等の維持更新に加えて、ホームドアや耐震補強、バリアフリー設備などの安全性・利便性の向上に関わる新たな設備追加も行われており、こうした作業が、基本的に終車から始発の間で行われていることがあります。
2020年12月11日金曜日と12月16日水曜日、夜間作業の様子が報道陣に公開されました。
12月11日の終車後の日比谷線上野駅では、ホームドア設置工事が公開されました。ホームドア整備には通常約22か月の作業期間が掛かります。ホーム下の支障物処理からホーム補強まで約15か月、ホームドア設置工事に約7か月かかり、当日はホームドアの搬入と設置が行われました。0時30分頃、作業を開始する為、総合指令所に線路閉鎖作業開始の連絡、運搬列車以外の列車は入れないようにします。ホームでは作業員が基礎ベースの養生取り外し、搬入準備が進められていました。
1時20分頃、搬入列車が到着しました。搬入列車は、日中に竹ノ塚車両基地で積込み、千住車両基地に回送、1時10分頃上野に向けて出発しました。ホームドア積み下ろし作業は、先頭、後方の両側から行われ、車両に傷を付けないように養生を行い、ドアから手際よくホームドアが降ろされ、所定の設置場所に据え付けられました。
その後、ホームドアがボルト締めで固定されました。日比谷線上野駅の場合、7両編成に28箇所のドア開口部があり、そこに大小35台のホームドアが設置されました。2時40分頃搬入列車が千住車両基地に向けて出発しました。その後、設置したホームドアの取付確認や建築限界測定が始まり、後片付け、清掃が行われ、安全確認の後、4時前に、総合指令所に線路閉鎖作業完了報告が行われました。
東京メトロのホームドアの整備は、全180駅中143駅(12月11日現在)が整備完了、2025年度までに全駅設置を目指しています。
12月16日水曜日は、東銀座駅付近での分岐器レール交換作業の様子が公開されました。レールは、車輪とレールの接触によるレール摩耗が発生すると、列車運行に支障をきたす可能性がありこれを未然に防ぐためレール交換が実施されました。終車後1時05分頃、線路閉鎖・き電停止の処置を行い、ホームから作業者が作業場所へ移動、作業が開始されました。
まず交換対象レールの撤去作業が進められました。続いて、千住車両基地から向かっていた保守用車両が新レールを運んで到着、新レールを保守用車両のクレーンで敷設場所まで運び、新レールの敷設が行われました。その後、旧レールはクレーンで保守用車両に積み込まれました。レール交換完了後、保守用車両の試験走行を実施、安全確認ののち保守用車両が千住車両基地へ戻りました。実作業時間は、60分~100分となります。これが終電繰り上げ後は、70分から110分で10分増えます。夜間工事の時間はタイトなので、たとえ10分の増加でも、現場の安全確認、作業効率化、工期の短縮などが期待できるとの事です。