地域交通の未来をDXで切り開く「地域交通DXフォーラム2026」開催

株式会社Will Smart代表取締役社長 石井康弘氏

2026年10月14日(水)、株式会社Will Smartが主催する「地域交通DXフォーラム2026」が、新橋の会場とオンラインを組み合わせたハイブリッド形式で開催されました。会場には約60人、オンラインでは約220人が参加しました。バス事業者をはじめ、交通事業者や自治体、関連企業の関係者が集まり、デジタル技術を活用した地域交通の維持・発展に向けて、課題や解決策を共有しました。

人口減少や少子高齢化が進む地域では、運転手の確保や利用者の減少、運行費用の増加などが深刻な課題となっています。こうした状況の中、フォーラムでは交通サービスの効率化や利便性の向上を目指し、DXによる業務改革やデータ活用、事業者間の連携について、具体的な事例を交えながら議論が行われました。

国土交通省総合政策局モビリティサービス推進課長 星明彦氏

基調講演では、国土交通省総合政策局モビリティサービス推進課長の星明彦氏が、国土交通省による地域交通DX推進プロジェクト「COMmmmONS(コモンズ)」について紹介しました。MaaSアプリや配車アプリなどのデジタルサービスが広がる一方、それぞれのシステムやデータ、業務の進め方が独立して発展してきたことが課題となっています。講演では、こうした状況を改善するため、バス業務やタクシー業務の標準化、交通データの共通化、地域にある輸送資源の有効活用など、交通業界全体の連携を促す取り組みが説明されました。

京王電鉄バス株式会社常務取締役事業部長 福島八束氏

交通事業者の事例としては、京王電鉄バス株式会社常務取締役事業部長の福島八束氏が登壇しました。バスタ新宿やバスターミナル東京八重洲で活用しているスマートターミナルシステム(STS)を取り上げ、デジタル技術による業務の効率化と、利用者へのサービス向上を両立するための取り組みを紹介しました。

大井川鐵道株式会社代表取締役社長 鳥塚亮氏

大井川鐵道株式会社代表取締役社長の鳥塚亮氏は、地域鉄道の経営と観光振興におけるDXの活用について説明しました。観光列車「トーマス号」などの事例を交え、鉄道業界におけるデジタル化の現状や、約2年前に導入した予約システムについて紹介しました。また、井川線を観光列車として活用してきた経緯にも触れ、運賃の見直しや予約受付を前日で締め切る仕組み、翌日の予約状況を沿線施設と共有する取り組みなどを説明しました。鉄道の運行だけでなく、沿線施設との連携を通じて観光プランの価値を高め、地域全体の活性化につなげる考えが示されました。

Will Smart代表取締役社長の石井康弘氏は、人口減少や運転者不足、インバウンド需要の拡大など、交通業界を取り巻く変化に対応するため、業務システムの刷新とデータ活用が重要であると説明しました。国土交通省の「バス業務標準仕様」に準拠したバス事業者向け基幹業務プラットフォームのほか、地域鉄道の販売業務を効率化するDXの取り組みについても紹介しました。

「事業者が直面する課題とテクノロジーによる解決の可能性」をテーマにパネルディスカッション

続いて、「事業者が直面する課題とテクノロジーによる解決の可能性」をテーマにパネルディスカッションが行われました。長崎自動車株式会社自動車本部自動車部業務担当部長の江川正樹氏、WILLER EXPRESS株式会社代表取締役CEOの平山幸司氏、しずてつジャストライン株式会社常務取締役の藁科孝佳氏が登壇しました。長崎自動車としずてつジャストラインからは運行ダイヤに関する課題や取り組みが、WILLER EXPRESSからは安全に関する取り組みが紹介されました。人材不足への対応や業務効率化、データの活用、事業者の枠を超えた標準化などについても意見が交わされました。

「DXを阻む壁と、業界で目指したい将来像」をテーマとしたグループワークが実施された

第2部では、国土交通省の「バス業務標準仕様」に準拠したバス事業者向け基幹業務プラットフォームのデモンストレーションが行われました。さらに、「DXを阻む壁と、業界で目指したい将来像」をテーマとしたグループワークも実施され、交通事業者や自治体、関連企業の参加者がそれぞれの立場から意見を出し合いました。

今回のフォーラムでは、地域交通の課題解決には、デジタル技術の導入だけでなく、業務やデータの標準化、交通事業者同士の連携、沿線地域との協力が欠かせないことが共有されました。各地の実情に合ったDXを進めることで、限られた人材や輸送資源を有効に活用し、地域住民の移動手段を将来にわたって支えていくことが期待されます。