東武鉄道のSLが初めて会津若松へ ふくしまデスティネーションキャンペーンに合わせSL大樹「土津」を特別運行準備が進む
2026年6月27日(土)・28日(日)、SL大樹「土津(はにつ)」が下今市~会津若松間で特別運行されます。東武鉄道のSLが営業列車として会津若松駅へ乗り入れるのは今回が初めてであり、旧国鉄会津線の西若松~会津田島間でSLが運行されるのも52年ぶりとなります。
この特別運行は、日光と会津を結ぶ観光周遊ルートの確立を通じて会津地域の活性化を図ることを目的とし実施されます。沿線自治体で構成する「SL大樹等観光列車運行推進協議会」と、「東北復興の一助となること」を目的の一つに掲げてSL大樹を運行する東武鉄道、さらに「ふくしまデスティネーションキャンペーン」を展開する野岩鉄道、会津鉄道、JR東日本の4社が連携し実現しました。日光と会津を結ぶ魅力的な観光ルートの形成と、地域のさらなるにぎわい創出への期待が高まっています。
列車名の「土津」は、福島県猪苗代町に鎮座する土津神社に由来します。「土津」は会津藩初代藩主・保科正之公の神号で、「万物の理を究めた会津藩主」という意味が込められています。鶴ヶ城の鬼門を守る位置に創建された土津神社への敬意とともに、会津の歴史や文化を未来へ伝える願いが込められています。
特別運行に先立つ6月4日(木)、報道関係者向けの乗車体験会が開催されました。下今市駅には、先頭にディーゼル機関車DE10形1109号、続いて蒸気機関車C11形325号、車掌車ヨ8000形8634号、14系客車スハフ14-1、12系客車オハテ12-2、14系客車オハフ15-1の順に連結された編成が入線しました。
9時33分、DLとSLの汽笛が響き渡り列車は出発。発車とともに「ハイケンスのセレナーデ」のオルゴールが流れ、旅情を誘います。1号車のスハフ14形と3号車のオハフ15形は14系客車で、国鉄時代の特急列車を思わせるブルーモケットの簡易リクライニングシートを備えています。2号車のオハテ12形は12系客車で、ボックスシートに大型テーブルが設置されているほか、上部窓の開閉も可能です。また、開放型の展望デッキからは、蒸気機関車の力強いドラフト音や煙を間近に感じることができます。
鬼怒川温泉駅では、かつて快速列車などで活躍した野岩鉄道6050型との並びも見られました。その後、列車は通常のSL大樹では走行しない区間へ入り、新藤原駅へ到着。東武鉄道と野岩鉄道の境界駅である同駅では、野岩鉄道の関係者に見送られながら発車しました。
野岩鉄道線内はトンネルが連続する区間ですが、その合間には川治温泉や湯西川温泉周辺の渓谷美が広がります。車内では観光案内放送も行われ、ふくしまデスティネーションキャンペーンに合わせた沿線観光地の紹介も行われました。

会津高原尾瀬口駅からは会津鉄道線へ入ります。会津鉄道は旧国鉄会津線を引き継いだ第三セクター鉄道で、西若松~会津滝ノ原(現・会津高原尾瀬口)間が1986年に移管されました。
会津田島駅では先頭のDE10形1109号を切り離し、機回し作業を実施。DE10形は客車最後尾へ連結され、ここから会津若松まではC11形325号が先頭に立って走行します。なお、特別運行当日の会津田島駅前では「会津田島駅前マルシェ」が開催され、27日には出発式も予定されています。

会津田島を発車すると、沿線では下郷保育所の皆さんが手を振って列車を歓迎。茅葺き屋根の駅舎で知られる湯野上温泉駅に停車した後は長大トンネルへと入ります。安全上の理由から芦ノ牧温泉駅まで展望デッキの利用は制限されますが、トンネルを抜けると会津盆地へ向かう雄大な景色が広がります。
芦ノ牧温泉駅では給水作業と足回り点検のため約30分停車しました。蒸気機関車の運行を支える重要な作業を間近で見ることができる貴重な機会となりました。その後、西若松駅を経てJR只見線へ入り、車窓は次第に市街地の風景へと変化していきます。

そして16時53分、列車は終点の会津若松駅に到着。下今市駅を出発してから約7時間20分に及ぶ長旅となりました。沿線には多くの鉄道ファンや地域住民が集まり、手を振ったりカメラを向けたりしながら歴史的な列車の通過を見守っていました。
本運行では、多くのツアー参加者を乗せて日光から会津若松まで走行するSL大樹「土津」。蒸気機関車ならではの旅情とともに、沿線各地の魅力を楽しめる列車として期待が高まります。

























