高岡の魅力を巡る旅

2015年3月に北陸新幹線が金沢まで延伸開業してから、今年で10年を迎えました。今回は、歴史的建造物の国宝「瑞龍寺」や「高岡大仏」があり、ものづくりのまちとして知られる富山県高岡市をご紹介します。

高岡駅へは、東京駅から北陸新幹線「はくたか」に乗って約2時間40分で新高岡駅に到着。そこからJR城端線の高岡行に乗り換え、揺られること数分で高岡駅に到着します。高岡駅には、JR城端線・氷見線、あいの風とやま鉄道、そして路面電車の万葉線が乗り入れています。

北陸新幹線「はくたか」

観光列車も運行されており、JR城端線・氷見線には「ベル・モンターニュ・エ・メール~べるもんた~」、あいの風とやま鉄道には「一万三千尺物語」、万葉線には「ドラえもんトラム」があります。

万葉線「ドラえもんトラム」

今回は、ものづくり体験を楽しむため、「和菓子&体験クーポン『高岡雅美』」を購入しました。このクーポンは、高岡駅観光案内所、新高岡駅観光交流センター、ホテルニューオータニ高岡で購入可能です。

和菓子&体験クーポン『高岡雅美』

体験メニューは、スプーン加飾体験、マメ皿着色体験、アクセサリーづくり体験、錫の箸置きづくり、昆布削り体験の中から選ぶことができ、事前に体験施設への連絡が必要です。今回はスプーン加飾体験を選び、予約をしてZIBA(高岡地域地場産業センター)へ向かいました。

ZIBA(高岡地域地場産業センター)
高岡漆器
このスプーンにオリジナルの模様を入れる
マスキングは予め用意された型もある

体験内容は、漆塗りのスプーンの持ち手部分に模様を施すもの。カッターでマスキングテープを好みの形に加工し、スプーンに貼り付け、カシュー塗料をスポンジで塗って着色します。マスキングテープをはがし、はみ出した部分はアルコールで拭き取って完成。私は新幹線とチューリップのデザインに挑戦しました。完成品は箱に入れてもらえ、塗料は24時間で乾きます。

カシュー塗料をスポンジで塗って着色
マスキングテープを剥がすと模様が現れる
はみ出た部分はアルコールで拭き取り
オリジナルの箱に入れてもらい完成

クーポンでは、不破福寿堂、美都家、大野屋 高岡木舟町本店、木田芳香園の4店舗の中から2店舗の和菓子を選ぶことができ、販売価格は2,500円です。

高岡駅から昭和通りを歩いて約10分、木舟町交差点を過ぎると、土蔵造りの町並みが広がる「山町筋」に到着します。この地域は、加賀前田家二代当主・前田利長が高岡の町を開いた際に商人を集め、商業の中心地として整備されたのが始まりです。江戸時代初期に形成されたこの商人町が、現在の山町筋の基礎となりました。

土蔵造りの町並みが広がる「山町筋」

山町筋には、国指定重要文化財「菅野家住宅」があり、大火以前に建てられた主屋や大火後に再建された離れ座敷・台所などの見学が可能です。山町ヴァレーは、商家をリノベーションした複合商業施設で、土蔵造りの建物内には店舗やカフェが並び、定期的に飲食イベントや物販市、野外ライブなども開催されています。

国指定重要文化財「菅野家住宅」
山町ヴァレー
山町ヴァレーの中庭 その周りには蔵を使用した店舗が並ぶ

また、「高岡御車山会館」では、毎年5月1日に行われる高岡御車山祭の展示や体験が楽しめます。ここでは、全国に5つしかない国の重要有形・無形民俗文化財に指定された「御車山」も展示されています。会館の向かいには、辰野金吾の監修のもと、田辺淳吉が設計した赤レンガの洋風建築「旧高岡共立銀行」が建ち、県内で唯一現存する本格的な洋風建築の建物です。

高岡御車山会館
赤レンガの建物(旧高岡共立銀行)

さらに、昭和通りを10分ほど歩くと、「金屋町」に着きます。この町は、前田利長が産業振興のために鋳物師を呼び寄せて住まわせた、高岡鋳物発祥の地です。千本格子造りの家並みと石畳が調和し、ノスタルジックな雰囲気が漂います。鋳物製品の販売店や製作体験ができる工房もあり、高岡の伝統工芸に触れることができます。

金屋町
千本格子造りの家並みと石畳が調和し、ノスタルジックな雰囲気が漂う
鋳物製品の販売店や製作体験ができる工房もある

また、高岡駅から徒歩約15分の場所には「高岡古城公園」があります。ここは、前田利長が築いた高岡城の城跡で、約21万平方メートルもの広さを誇る都市公園です。桜の名所としても知られ、春には美しい花が咲き誇ります。園内には売店、博物館、動物園、神社などがあり、本丸広場には「銅器のまち高岡」ならではの、伝統技術によって鋳造された彫刻作品も展示されています。

高岡古城公園
本丸広場
射水神社

古城公園の近くには「高岡市美術館」があり、かつては公園内にありましたが、跡地は「高岡市立博物館」として、美術館は1994年9月に現在の地へ移転し、リニューアルオープンしました。館内には自然光を取り入れた吹き抜けのアートホールが広がり、3つの企画展示室では年間9本の展示(企画展3本、市民展や富山大学卒業展など6本)が行われています。地階には貸出スペースである市民ギャラリーのほかミュージアムショップがあり、グッズやお土産の購入ができます。また、2階には高岡市出身の漫画家・藤子・F・不二雄の足跡を紹介する「高岡市藤子・F・不二雄ふるさとギャラリー」も併設されています。

高岡市美術館
アートホールは自然光を取り入れている
企画展示室。訪問した日は昭和100年記念「あの頃みんなこどもだった」展が開催されていた
企画展示室では年間9本の展示が行われている
ミュージアムショップ

高岡市美術館へは、高岡駅から徒歩約20分。公共交通機関を利用する場合は、JR氷見線で越中中川駅下車徒歩2分、または富山地鉄バス・富山駅前行「中川」下車徒歩2分です。

さらに、JR氷見線に乗って越中国分駅を過ぎると、車窓から海が見えてきます。ここは景勝地「雨晴(あまはらし)海岸」です。天気の良い日には、富山湾越しに立山連峰を望む絶景が広がります。雨晴駅で下車し、越中国分駅方面へ戻りながら歩くと、踏切近くに「義経岩」があります。これは、源義経が奥州へ落ち延びる途中、にわか雨の晴れ間を待ったとされる岩で、「雨晴」という地名の由来となっています。

雨晴海岸沿いを走るJR氷見線
義経岩

義経岩の向かいには、道の駅「雨晴」があり、展望デッキからは雨晴海岸の美しい眺望を楽しめます。館内にはカフェスペースもあり、絶景を眺めながらゆったりとした時間を過ごすことができます。

道の駅「雨晴」
展望デッキからの眺望

北陸新幹線で、歴史とものづくりが息づく高岡を訪れてみませんか?