NEXCO中日本:高速道路の自動運転時代に向けた路車協調実証実験を公開
2024年6月20日、建設中の新東名高速道路でNEXCO中日本が行う「高速道路の自動運転時代に向けた路車協調実証実験」の様子が報道陣に公開されました。NEXCO中日本として初の自動運転の実証実験となります。新東名高速道路は2027年度の全通開通を目指して、最後の工事区間である新秦野IC~新御殿場ICで工事が進められています。静岡県内は比較的工事が順調に進んでいて構造物も概ね完成している区間もあり、2020年度頃からこの空間を自動運転で有効に活用するプロジェクトがスタート、2021年12月に自動運転の実証実験を行う企業・団体の公募を行い、10の企業・団体が参加しています。実証実験は、5月13日から行われ、一般区間2.8キロ、トンネル区間3.1キロで実施されています。自動運転への取り組みの目的はトラックドライバー不足や物流2024年問題の解決に向けた1つの方策として考えられています。また、政府が掲げたデジタルライフライン田園都市構想では新東名高速道路の駿河湾沼津SA~浜松SA間に自動運転車優先レーンを設け運用する方針が発表されていて、今回の結果を自動運転車優先レーンにも反映したいとの考えがあります。
高速道路での路車協調の必要性として、一般道と比べ走行速度が速く、制動距離も長いことから、前方の事象を少しでも早く検知して、減速や車線変更などの安全行動を取ることが必要で、事象の検知には自動運転車両のセンサーに加え、インフラ側からの情報を加えることにより安全性の向上を狙っています。実験は10件のユースケースが用意されています。
今回は2つの実証実験が公開されました。一般区間には9本の支柱を設置、そこに各社の通信アンテナが設置されています。まず「路上障害情報の後続車への提供」では、自動運転車に対して、事故などの前方の路上障害情報を先行車両や路側のセンサーで把握し、後続車へ情報提供します。また道路管制センターへも伝達され、監視員がカメラなどで状況を確認して情報提供します。情報を受けた自動運転車は、故障車の手前で車線変更をして速度を80キロから50キロに落とし、故障車を回避しました。
「コネクテッド車の緊急停止時における遠隔監視、操作」では、自動運転車が障害物などにより自動運転の継続が出来なくなってしまった場合、遠隔操作に切り替えて、遠隔操作卓で車を操作して安全な場所に移動し自動運転復帰をするデモンストレーションが行われました。
この結果を駿河湾沼津SA~浜松SA間の自動運転車優先レーンに活用したいとのことです。