NEXCO中日本:東名多摩川橋リニューアル工事

東名高速道路の東京IC~東名川崎IC間にある東名多摩川橋では、リニューアル工事が行われています。東名多摩川橋は1968年に東京IC~厚木IC間が開通してから50年以上が経過、老朽化が進行しています。東名多摩川橋も車が走る道路の下の床版が傷んでいることからリニューアルを行い、建設時より良い橋を造る事をコンセプトに2021年11月27日より工事が進められています。

リニューアル工事が行われている東名多摩川橋
工事事務所ではモニターで工事の様子が確認できる

この区間は1日当り約10万台の交通量があります。従来の工事では車線規制を実施して工事を行いますが、渋滞リスクを減らすため、上下3車線を維持し、施工箇所を分割して行う方式が取られています。東名高速道路の1車線の幅は3.6mですが、幅を狭め、80キロに速度規制をするほか、中央分離帯の撤去を行い、施工箇所を確保しています。工事は、上り線の第一走行車線から実施され、現在は最後の施工箇所、下り線第一走行車線で行われています。取り替える床版の数は約1000枚で、一般的には大型クレーンを使用していましたが、スペースが限られる為、移動式床版架設機が用いられています。また、生産性向上を目的とした施工シュミュレーターを導入、バーチャル上に表示された現場作業の様子を、予め作業前に確認することで、作業者は役割・内容を把握出来ます。この他、作業待ち時間も見える化が可能になり、効率の良い人員で作業が行われています。また、作業上の事故リスク回避や疲労予測にも活用されています。品質管理については、補強鋼材は福岡県の工場で製作している為、リモートによる立ち合いを実施し、移動時間の削減が図られています。他にも、作業員2人で移動できる防護柵(バルカンバリア)を作業帯の出入口に仮設防護柵として使用されています。さらに工場で製作したコンクリート製品、EMC壁高欄、スリムトップ床版を採用して、工期短縮などが図られています。床版取替工事は8月上旬まで、工事全体は11月中旬に完了する予定です。

移動式床版架設機
移動式床版架設機の模型
EMC壁高は劣化や衝突による壁高欄の交換が容易となった。
スリムトップ床版は防水加工不要で工期短縮が図られている。
移動式防護柵(バルカンバリア)